田舎でオール公立でも最高の教育を目指す

地方で子育てをする医学博士夫婦の教育論

子供を医者にするということ

もうすぐゴールデンウィークですね。

みなさんは旅行などのご予定はありますか?

我が家はありません。笑

私は子供が小さいので、仕事で当直などを免除してもらっていますが、夫は普通に仕事をしているので休日の日当直もありますし、当番でない日も緊急手術になればすぐに駆けつけなくてはならないので遠出するわけにはいきません。

ゴールデンウィークは、病院は結構忙しいです。

入院患者は、家に帰れそうな人は外泊させたりするので、病棟は比較的空いていますが、救急外来は混み合いますね。

ゴールデンウィークは必ず部活の試合などがあるでしょう?

特に多いのが野球部とサッカー部。他の選手と接触したり、ヘッドスライディングとかダイビングキャッチとかするんでしょうね。

あちこち打ったり折ったりして、毎年何名かはユニホーム姿で運ばれてきますね。

それから遠出して慣れない道路を運転するせいか、帰省ラッシュなどで道路が混み合い混乱するせいかはわかりませんが、見慣れない地域のナンバー車が事故に遭って運ばれてきたりもします。

幸いにしてそういった事故が無かったとしても、入院している病棟の患者さんはゼロになることはありません。

交代制で休みは取りますが、何もかもから解放されてリラックスして南の島へ…というわけにはいきません。

働く環境(病院)によっても違うと思いますが、基本的に長期休暇は取れない仕事なのです。

じゃあどうしているのか?

私たちの場合は、世の中の長期休暇と重ならないような時期に交代で休みを取らせてもらったりします。

しかしそれでも連続3日まで、というような制限はあります。

年末年始休みは、初詣客が転倒したり、酔っ払いが転倒したり、の呼び出しが多いですし、

お盆休みは熱中症やレジャー中の怪我、帰省ラッシュの事故が多いですね。



ご存知の方もいらっしゃると思いますが、以前コメント欄で

「医者だと名乗ると偉そうだからプロフィールから外せ」と書いた方がいらっしゃいました。

衝撃でしたね。

人口が1億2000万人いる中で、30万人以上も医師がいて、毎年7000人以上が新規に医師になるというこの日本で、

医師だと名乗ると偉そうだという感覚を全く持ち合わせていませんでした。

日本の人口を0歳から全て含めたとしても、400〜500人に1人は医者なんです。

1万人が集まるコンサート会場に、20人は医者がいる計算になります。

そんなにたくさん偉い人がいたら困ってしまいますね。

24時間365日、呼ばれればすぐに飛んでいき、若い頃なんて時間外労働は月に180時間以上。そのうち時間外手当(給料)が出るのは月に20〜50時間程度まで。その他の労働は全てボランティアということも普通です。

医師なんて普通の労働者、むしろ奴隷のようだと感じることがあるほどです。

こんなに他人の都合で昼夜問わず呼び出されて、法律上、それを断る権利も無いという、こんなブラックな仕事は他に知りません。笑

他の人が休暇や娯楽を満喫している中、その人たちの万が一に備えてずっと待機しているのだから、医師以外の人達の方が、よっぽど良い身分だと思います。

残業時間の上限が100時間未満に規制されるようですが、やはり医師だけは見送られることになりそうです。

医者が偉そうにしていたのなんて、何時代の話だよ?と思います。

私なんて患者さんに殴られたこともありますよ。(泥酔していて正気では無い人だったけど)

それでもその方の処置、丁寧にちゃんとしましたよ。


このブログを読んでくださる方の中には、お子様の医学部受験に興味を持った方もいると思いますが、ぜひ、こういったマイナスの側面も知ってもらいたいなと思います。

私が育ったのは医療関係とは無縁の家庭でしたので、就職した当時、私がほとんど家に帰らないし電話もつながらないのを父が心配して、

「若い女性をこんなに働かせていいのか!」と職場に抗議する寸前でした。

本当、やめてよね…みんな同じ条件で仕事しているんだから。と思いましたが、普通のサラリーマンから見たら異常なほどの拘束時間なのは間違いありません。

それから、医局に属している限り、人事異動には基本逆らえません。

東京の大学に所属しているのに勤務地は東北、北海道なんてことが普通にあり、半年おきに転勤させられることも普通です。

引越しの段ボールを荷解きする間も無く次の引越しになるので、段ボールに囲まれて暮らしている人もいます。

ついでに言うと、医師は離婚率も高いですし、特に女医は未婚率、離婚率ともに高いです。笑


さて、マイナス面をいろいろ書きましたが、はっきり言ってここには書ききれません。シリーズ化して全10話くらいにしても書ききれないかもしれません。

ドラマで見る江口洋介はカッコイイかもしれないけれど(古い?)、あれはドラマだから最終的にはハッピーエンドが多いじゃないですか。

でも現実はハッピーエンドなんて少なくて、報われないことだらけの中で皆さん頑張っています。


それでも子供たちを可能なら医者にしたいと、私は思っています。

多分、1人くらいはなってくれるだろうとも思います。

毎日毎日、医療の話や病院の話を聞かされて育っているので、ある意味宿命というか、仕方のない部分もあるでしょうね。

上記のようにマイナス側面だらけなのになぜ?と思う方もいるかもしれませんね。

もちろん、それを上回るような素晴らしい面もあるからです。

全国どこへ行っても働けますし、収入も一定の水準を下回ることはないし、たとえシングルマザーになったとしても貧困に陥ることはないでしょう。

そういう意味では誰かに依存することなく、自立して自由に生きていくことができます。

それから、大学で勉強したことをそのまま職業に生かせる仕事ってそうそうないと思いますが、専門職はそれが可能です。

教員になりたいと思って教員免許を取得しても、採用試験に受からなければ先生にはなれませんが、医者は医学部にさえ入ればほぼ確実に医者になれます。

それに一度仕事を辞めても再就職に困ることはほぼありません。

それだけでなく、やっぱり1番の理由は、この仕事に就かなければ得られない感動や成長があり、やりがいがあり、誇りを持てる仕事だと親の私たちが思っているからだと思います。

それは他の職業にも共通するものがあり、だから親と同じ職業選択をする人は多いのでしょう。


「ありがとう。」って心からのひとことを言われたり、心の底から「いい仕事ができた」と思える時、無給で1日や2日寝ないくらい、頑張れるのですよね。

でもその感覚は、そういった仕事をしたことのない人には理解しがたい部分があると思います。

「なんできっちり時給が出ないわけ?」とか、「労働基準法違反だ!」って思う人もいるでしょう。実際、私も少し思うときはあります。笑


子供を医者にするということは、そういう奉仕的な生き方を、愛する可愛い我が子にさせる、それも一生そうさせる、ということです。
当然親が望むだけではどうにもなりませんし、子供本人の強い意志がなければ、受験は乗り越えられても仕事を続けることはできないと思います。

医者にとって、頭の良さよりも忍耐力、精神力、洞察力、そして柔軟性の方がずっと大事かなと思います。

でも、「忍耐力だけは誰にも負けません!」と言っても医学部には受かりませんし、そこに到達するためにはまず受験を勝ち抜かなければなりません。

いくら人柄が良くても、体力があって手先が器用で精神力があっても、受験戦争を努力で超えられない人にはやっぱりその資格がないのだと思います。

子供たちに決して強制するつもりはないけれど、もし選んでくれるのなら精一杯の応援をしたいと思っています。


それからこれは余談ですが、私には娘が2人いるので女性医師のキャリアプランも少し考えることがあります。

もし結婚して子供が欲しいと思っているのなら、ライフワークバランスを考えることも必要になります。

医学部は6年間ありますから、他の学部よりも社会に出るのが遅くなります。

研修医をやって、経験を積んで専門医を目指して…なんてやっているうちに、あっという間に年をとります。

医師免許取得後、すぐ結婚。または研修医2年終えてから結婚。その後あまりキャリアを重ねないうちに子供を持ち、育児中は時短で働くか研究の道に進んで学位を取る。育児が一段落したら第一線に復帰する…なんていうのが理想かな、と思います。

こういう働き方は、同僚の男性医師の反感を買う場合も多いので、第一線に復帰させてもらえる保証はありませんが、少なくとも医師は続けていけます。

卒後の進路は、脳外科や心臓外科などは家庭との両立が難しいかな…とも思います。

まあ、あくまで理想ですし、予定通りにいかないのが人生ですし、こんな風に最初から打算的に生きるのもどうかと思うので、このことは私の心の中だけの話にして子供たちには言わないことにしようと思います。笑