田舎でオール公立でも最高の教育を目指す

地方で子育てをする医学博士夫婦の教育論

どんなド田舎からでも東大に行ける

私の夫の勤務する病院は、3次救急指定でドクターヘリも完備しているため、週に1、2度のペースでヘリで運ばれてくる患者さんがいます。

その多くはアクセスの悪い山間部など、いわゆるド田舎の町村の患者さんで、救急車で往復すると時間がかかり過ぎるためヘリを使って搬送することになっているのです。

コードブルーとかいうドラマとはちょっと事情の違う?(であろう)ドクターヘリの出動だと思いますが、

そんな、まともな病院すら無いド田舎からでも、東大に行けます。

私の高校の同級生は、その町から京都大学の医学部に現役で合格しました。

(あ、タイトルと違って東大じゃなくてすみません…。)

それも、たまたま30年に1人くらいはまぐれで医学部に行ける、というわけでもなさそうなのです。

その町から私の出身高校に進学してくる人たちはみんな優秀で、おそらくそのほとんどが旧帝大に進学、国立医学部に行くことも珍しくありません。

そもそもその町の人口自体が数千人で、小学校では1年生と2年生が1クラスになることもある教育環境なのに、この進学率は異常です。

それにはいくつか理由があると思うのですが、

彼らはまず、下宿をしないと高校にすら行けません。

ですから、「下宿までするからには良い高校に入りたい」と、高校受験に向けた勉強を頑張ります。

さらに、失礼な言い方かもしれませんが、そんな田舎には高収入を得られる産業がありません。

そのため子供1人を高校・大学に進学させるためには親も相当な覚悟が必要です。

両親の収入と、祖父母の年金と、親戚への借金と、町の奨学金と…全部かき集め、退路を断ってたくさんの期待を一身に背負って行きます。

たくさんのものを背負って県立トップ校に行く彼らは、まず覚悟が違います。

塾に通わせられ、送迎をしてもらい、塾弁まで作ってもらい、成績が振るわないとスランプのせいにしたり親や塾のせいにするような子供たちとは、はじめから精神構造が違うと言わざるを得ません。笑

そして、下宿をして高校に進学した時点で、勉強以外にする事が無いという環境に置かれます。

彼らの中には、甘えも言い訳も存在しないのです。

さらに、彼らの話を聞くと、小中学校では非常にきめの細かい丁寧な教育を受けている事がわかります。

そんなド田舎にはロクな先生がいない、まともな教育が受けられない…というのは間違いで、

公立ですから、どんな先生も平等に数年間はそういった僻地にも赴任するわけです。

少人数制なので、数による競争は起こりにくいかもしれませんが、一人一人の個性を尊重した、余裕のある教育を受けていると感じます。

放課後に先生を独り占めしてとことん質問をする事ができるし、

先生も比較的余裕があるのでひとりひとりに合った学習ペースで進めることができるそうです。

私の家は教員一家(母親以外)なのですが、叔父も叔母もみんなそういう地域に赴任していた事がありました。

通勤はとても大変だったけれど、そこにはとても穏やかで充実した時間があったと、後になってみんなそう言います。


毎年この時期、中学受験に向けて不安定になっている家庭を見ると、そんな彼らを思い出して「なんだかな…」と思います。

最終的に幸せになればどちらの道を進んでも良いわけで、優劣もつけられないし、良いも悪いもないのですが、

そうやって子供が自分で覚悟を決めて努力している家庭もいれば、

親ばかりが空回りしている家庭もあるのですよね。

中学受験に向けて、塾のクラス分けテストに一喜一憂する保護者たちの中には、

志望校に合格するために、まず特別クラスに入らなければと必死になっている方も多いです。

中学受験が当たり前の地域では、そうせざるを得ないのでしょうね。

その辺りの事情は私にはわかりません。


しかし、田舎で公立組に関していえば、頑張るところは、「中学受験組の真似をする」とか、そういうところではないような気がします。

上に上げた例のように、夢を叶えるのに、塾も、中高一貫校も、勉強を教えられる親も、必ずしも必要ではないのですよね。

確かに、その方が効率が良い部分もあるのかもしれませんが、

ちゃんと育てなければいけないのは、「子供の心」だけなのかもしれません。

この話をすると、「どうせその子は田舎の神童なんでしょ?」と言われます。

私は、少なくともその彼は神童ではないと思います。

私も高校では彼と一緒のクラスでいくつか授業を受けていましたが、特別天才だと思ったことはありませんでした。

でも、当時から、東大の入試問題は比較的簡単で素直な問題が多いけれど、京大の入試問題は難易度が高いと言われていて、

そこを突破して医学部に合格したのだからやはりすごいと思います。


タイトルに書いたように、どんなド田舎からでも東大に入れます。

都心の有名校からは何十人も東大に入るかもしれませんが、その元々の分母(その学校に進学してくる地域の人口比)を考えると、別に進学率が高いとは思いません。

だって東大って、どんな田舎の人口の少ない県からでも毎年10人くらいは入りますからね。

私の大学の同級生には、都心の有名校出身の人たちがたくさんいるので、その育ち方の違いに圧倒されていた時期がありました。

今も、友人たちの育児を見ていて、自分の育児はこれで良いのかと不安になる時もあります。

でも、同じように田舎で子育てをしている先輩たちを見ていて、

「田舎でもけっこういける」と思っています。

だから、田舎だから…ていう言い訳をせずに、そんな固定観念はみんなで取り払って行きたいと思います。



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